高血圧とは?
要するに、血圧が高いことです。
日本を含めた世界のガイドラインの高血圧の定義は、いずれも140/90mmHgです。
では、この140は、何か?
これは、最高血圧(収縮期血圧とも言います)と言って、心臓から血液が押し出された時の動
脈壁にかかる圧です。
そして、90は、何か?
これは、最低血圧(拡張期圧とも言います)と言って、心臓が拡張しきって動脈の壁が緩んだ
時に残っている圧です。
では、”mmHg” は、何か?
これは、”ミリメートルエッチジー”と読んで、水銀柱(mm)で表したものです。
水銀は液体の中でもっとも比重の重い(13.6)液体です。
しかし、医学的に正確に表現すると結構めんどいことになります。下の表を見てください。
横軸は、診察室での血圧で、縦軸は、診察室外の血圧を表してます。
そして、正常血圧と白衣高血圧との境界は、140/90mmHg
正常血圧と仮面高血圧との境界は家庭血圧で135/85mmHgとなります。
診察室外血圧というのは、家庭血圧、24時間血圧 昼間血圧 夜間血圧 に分けられます。
それぞれの境界の血圧値が、135/85mmHg 130/80mmHg 135/85mmHg
120/70mmHg となります。
最近では、この血圧の種類の中でも、家庭血圧を医師はもっとも重要視します。
だから、患者さんには”血圧手帳”を渡して、家での血圧をきちんと計っていただきます。
特に、夕方よりも朝の血圧を重視します。
と言いますのも、脳卒中や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)は、早朝に発症することが圧倒
的に多いからですね。
血圧の測定方法
一般的な測定方法は、非観血的(manchetteマンシェットを上腕:肘の上に巻いて)測定します。
座位で、マンシェットを心臓の高さに保って、数分間安静にしたのちに測定します。
歩いたり階段を上がったり、降りたりした直後に計っても、正しい安静時の血圧ではありませ
んので、高血圧の診断には用いることができません。
そして、1回だけの血圧を持って高血圧と呼ぶのではありません。
臨床的には1ヶ月程度継続して測定してみることが大切です。
この測定方法も、医師がきちんと患者さんを指導しなければ正しい値を得ることができないば
かりか、薬を処方する時にも誤った判断の原因にもなります。
高血圧の原因(病気)
一般的に、高血圧といえばいわゆる”本態性高血圧”をさします。
ほとんどの高血圧は、”本態性”なのですが、時に”二次性”と言われるものがあります。
”本態性”とは、要するに原因不明ということなんですね。
医学の世界で、よく”本態性”ってつく病名がたくさんありますが、要は”よくわからん”という
のが、頼りないから”本態性”って偉そうに言っただけですね。
さて、ではその他の高血圧なんてあるのか?
それが、”二次性高血圧”になります。
これ、たくさんありますので、以下に代表的なものを列挙してみますよ。
1.腎実質性高血圧
2.腎血管性高血圧
3.原発性アルドステロン症
4.褐色細胞腫
5.クッシング症候群
6.甲状腺機能低下症
7.甲状腺機能亢進症
8.副甲状腺機能亢進症
9.薬物誘発性高血圧
10.大動脈炎症候群
11.大動脈縮狭窄症
12.脳幹部血管圧迫
これを1つ1つ説明していこうと思います。
原因をきちんと診断することは極めて重要になります。
それは、原因を突き止めないと治療法(対処法)が全くことなるからです。
治療法(対処法)を間違えると、その高血圧は絶対に治らないばかりか、悪くなって結局それ
が原因で死に至ることになりかねません。
恐ろしいことです。
本態性高血圧
先ほどもご説明いたしましたが、原因不明ですが、日本人の高血圧の特徴としては、昔から食塩摂取量が多いことが挙げられます。昔と比べますと随分低下したとはいえ、最近でも1日に10g前後の食塩摂取をしていると言われています。
ちなみに、 2012年に発表されたWHOのNa摂取量に関するガイドラインでは、一般成人の食塩摂取量を5g/日未満にすべきとしていますが、日本の現状はこれにはるかに及びません。
日本は、先進国の中では肥満者の少ない国と言われておりますが、肥満度の指標であるBody Mass Index(BMI)は、男性では年々増加して、肥満者は過去30年でおおよそ2倍になりました。一方、女性では増加は見られていません。
これは、近年メタボリックシンドロームの増加を意味しており、今後もますます食事を含めた生活習慣の欧米化により増加する恐れがあります。
二次性高血圧
上に12個の代表的なものをあげましたが、順番に簡単な説明を加えていきましょう。
1.腎実質性高血圧
二次性高血圧の中では最も頻度が高いものです。
基礎疾患として、
第1位:糖尿病性腎症 第2位:慢性子宮体腎炎 第3位:腎硬化症
第4位:多発性嚢胞腎
これらのCKD(慢性腎臓病)は、高血圧を発症させるが、逆に高血圧が腎障害を悪化させると
いう悪循環を生じます。
2.腎血管性高血圧
腎動脈の狭窄や閉塞により発症する高血圧で、頻度の高い二次性高血圧です。
外科的治療(血行再建術)によって直すこともできるという意味で重要になる疾患群です。
3.原発性アルドステロン症
副腎から過剰分泌されるアルドステロンが原因です。
4.褐色細胞腫
副腎や傍神経節由来の腫瘍が分泌するカテコラミン過剰が原因です。
5.クッシング症候群
下垂体から分泌されるACTHや副腎から分泌されるコーチゾルの過剰が原因です。
6.甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌低下によるものです。
7.甲状腺機能亢進症
逆に甲状腺ホルモンの分泌過剰によるものです。
8.副甲状腺機能亢進症
副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンの過剰によるものです。
9.薬物誘発性高血圧
原因となる薬物としては、非ステロイド性抗炎症薬、甘草製剤(漢方薬)、グルココルチコイド、シクロスポリン、エリスロポエチン、経口避妊薬、交感神経刺激薬など。最近では、抗がん剤として使用される分子標的薬も高血圧が誘発されます。
10.大動脈炎症候群
高安動脈炎とも呼ばれ、大血管の炎症を起こす厚生労働省の特定疾患です。
両上肢の血圧の左右差を認めることがあります。
11.大動脈縮狭窄症
下降大動脈の一部に強い狭窄を起こすもので、上半身の高血圧と下半身の低血圧で診断がつ
くことがあります。
12.脳幹部血管圧迫
頭蓋内圧亢進が発生すると高血圧になるクッシング反応とは別に、延髄腹外側野の周辺動脈による圧迫で血圧上昇をきたし、外科的に圧迫を解除することで降圧することが報告されております。
以上、これらの二次性高血圧症の重要性は、きちんと診断がつけば、対策(対処法)が明確に決定でき高血圧そのものを治癒にもっていけるという点にあります。
一般臨床家も肝に銘じておく必要がありますね。
高血圧と対処法
上にも書きましたが、高血圧の中でももっとも多いのが”本態性”です。
そして、この本態性高血圧は、塩分の過剰摂取、肥満、ストレス、喫煙、不眠などの良くない生活習慣によって悪化していきます。
ですから、ご自信でできる対処法(病院でする治療とは違うという意味で)としては、これらの生活習慣を見直して良い生活習慣へと変えていくことが大変重要になります。
これら一つ一つの要因について、どうすれば良いのかを記述しようとすると多くのページを必要とします。また、別に取り上げていきたいと思います。
1つだけここで記載しておきたいことは、体重を4kg減量できますと、血圧が4mmHg低下すると言われています。本当、肥満は万病の基ですね。
血圧を下げる対処法:ツボ
心手(しんしゅ)
手のひらの真ん中にあるツボで、イライラを抑えてくれます。
出典:nanacollect.com
合谷(ごうこく)
手の甲にあるツボでで、親指と人差し指の間です。
血圧を下げる効果があります。
出典:kenkou9.blog43.fc2.com