高血圧の治療薬は、非常にたくさんの種類があります。そして、大きく分類すると
- カルシウム拮抗剤
- ARB(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)
- ACE阻害薬
- 利尿薬
- βブロッカー
これらのうち、副作用として咳(空咳)がみられるのは、ACE阻害薬です。
作用機序としては、この薬によってブラジキニンという物質が増加して、咳中枢を刺激するからだとされております。だいたい、内服した患者さんの20-30%に発生しています。
薬の具体的な名前としては、次のようなものがありますが、最近ジェネリック薬も多く発売されておりますので、これ以外にもたくさんの種類があります。降圧剤として処方されて内服しているうちに咳がよく出るようになった時には主治医の先生と相談してください。
商品名 | 一般名 |
レニベース | エナラプリル |
カプトリル | カプトプリル |
セタプリル | アラセプリル |
アデカット | デラプリル |
ロンゲス | ルシノプリル |
タナトリル | イミダプリル |
インヒベース | シラザプリル |
コナン | キナプリル |
コバシル | ペンドプリル |
しかし、咳が出ることでよいこともあるのです。
高齢者は、唾液などが気管に入ることによって、肺炎(嚥下性肺炎)を起こしやすくなります。ところが、このACE阻害剤を内服している高血圧のご高齢の方は、嚥下性肺炎の予防に一役買っていることになります。こういった理由で、咳の副作用を逆手に取った処方の仕方もあるということですね。