高血圧の原因は塩分の取りすぎから?
日本人は塩分の取りすぎだから脳出血が多かったと言われています。確かに近年塩分摂取量は若干減っては来ていますがまだまだ国際的に見ると高い摂取量です。日本の成人の食塩摂取量は、男性11.4g 女性9.6gです。他の国で食塩摂取量の非常に少ない地域では、高血圧の人は少なく年齢と共に血圧が上がることもあまりないとされています。減塩したからといって、病気になったりはしません。一般的に1日の食塩摂取量としては、6g未満が勧められています。
人の食塩必要量は、1−2gでいいのですから。
塩分の多い食品として、以下のようなものがあります。
<出典:http://gathery.recruit-lifestyle.co.jp/article/1142950485869618701>
味噌汁、スープ、ちくわ、かまぼこ、ハム、ウインナー、ご飯の友・ふりかけ(梅干しや佃煮、漬物など)、外食、市販のそうざいやインスタント食品、うどん・そば・ラーメンなどの麺類のスープ、すし、丼物、魚の干物、明太子、せんべいやスナック菓子
一般的にこれらの食品の塩分量は多いため、習慣的にこういった食品をたくさん摂取する方は要注意です。高血圧の人はなおさら控える必要があります。しかし、日本の食材をみるとすでに塩分をたくさん含んだものが多いことも問題です。国全体として、食品に使用する塩の量を制限する取り組みがなければかなり困難であるともいえるでしょう。
塩分摂取を控えて血圧がたった2mmHg下がっただけでも、約2万人死亡数を減らせると言われるほど、少しの血圧低下でも国民全体でみると大変な効果をもたらすのですね。
それとも塩分以外?
「高血圧の原因(病気)によってその対策(対処法)や治療は当然異なる」でも、お話し致しましたが、高血圧の原因のほとんどは”本態性高血圧”と言われる原因不明のもので、それが生活習慣の関与、すなわち塩分の問題が含まれるわけですね。
一方それ以外の、”二次生高血圧”といわれるものは、原因のはっきりとしているものですから、こちらは塩分とは無関係というわけです。きちんと分けて考える必要がありますね。
いくら生活習慣を改善しても、降圧剤を内服しても一向に血圧が下がらないと言う場合はこちらの”二次性”を鑑別診断しなければなりませんね。このことは、非常重要です。なぜなら原因をきちんと取り除くことができますので、原因の治療が成功すれば高血圧は治すことができますから、降圧剤を内服する必要もなくなるのですから。
エピソード:脳ドック結果説明で・・・
脳ドックの結果説明をしていると、こんな会話によくなります。
私:血圧高いですね。でも、去年も、一昨年も血圧高いですよ。
患者さん:はい、でも特に症状ないですからあまり気にしてません。
私:でも、症状出たらあなたの人生が終わる時かもしれませんよ。
患者さん:えっ、そ、そうなんですか?
私:人間の体は結構頑丈に出来ていて、そうとう我慢がききます。だから、ああもうだめだっていう時になって初めて症状がでるんです。高血圧はそもそも無症状で経過しますが、”サイレントキラー”の異名を持つように、発症したら、脳卒中や心筋梗塞に代表されるような一発で死亡したり、寝たきりになったり、片麻痺の後遺症を起こして職を失ったりで、人生おわりますよ。
患者さん:わ、わかりました。どしたら良いでしょうか。
私:まずは、あなたの肥満を改善しましょう。それだけでも血圧が下がりますよ。そして、食生活もとにかく減塩を頑張りましょう。こういった努力をしてから、どうしても下がらないことを確認できたら、仕方ありません、内服薬を考えるっていう手順を踏むのがよいと思いますよ。
間違っても、すぐに処方をしますからなんていう医者にかかってはだめですからね。いくら薬で強制的に血圧を下げても、生活習慣を改善してあなたの体の内側から健康になっていかなければ、血圧はうまく下がりませんから。とにかく、薬だけに頼るという姿勢はやめましょうね。