一般的に、寝不足(不眠症も含む)は高血圧の原因になると言われています。仕事が忙しかったり、環境が悪かったりとかその原因はいろいろだと思いますが何れにしても、そういった原因にかかわらず、睡眠時間が短いことで、交感神経が興奮して結果的に高血圧になっていくのであろうといわれているようですね。
睡眠は、人間にとって大切な役割を担っております。身体的、精神的に休息をとるための大切な時間です。自律神経系の調節、ホルモン系の調節、記憶や感情の整理調節、免疫系の調節などが含まれます。私は、これに加えて”霊的”な休息あるいは、調節も大切になってくるのではないかと考えております。まあ、一般的ではないかもしれませんが。
それではまず、正常な睡眠パターンについて簡単に説明しておきます。
正常睡眠パターン
正常な睡眠は、レム睡眠と呼ばれる浅い眠りとノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りが90分セットで繰り返されます。レム睡眠中は眼球が動き、筋肉は弛緩しており、夢を見て呼吸や心拍数が不規則になります。体が休んでいる状態です。ノンレム睡眠中は、最も深いものが入眠直後にあらわれて、その深さによって4つに分けられます。体を支持する筋肉は働いていて、夢は見ません。脳が休んでいる状態です。このノンレム睡眠とレム睡眠が交互にバランス良く取れて、起きた時にすっきりと目覚め、よく眠れたという満足感があるのが良い正常の睡眠といえるのです。
それでは、不眠症の定義はどうなっているのでしょうか。
不眠症の定義(日本睡眠学会による)
夜間中々入眠出来ず寝つくのに普段より2時間以上かかる入眠障害、一旦寝ついても夜中に目が醒め易く2回以上目が醒める中間覚醒、朝起きたときにぐっすり眠った感じの得られない熟眠障害、朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう早朝覚醒などの訴えのどれかがあること。 そしてこの様な不眠の訴えがしばしば見られ(週2回以上)、かつ少なくとも1ヵ月間は持続すること。不眠のため自らが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられること。などの全てを満たすことが必要です。
なお精神的なストレスや身体的苦痛のため一時的に夜間良く眠れない状態は、生理学的反応としての不眠ではありますが不眠症とは言いません。
不眠症の原因:6つの”P”
- 生理学的原因(Physiological)
夜勤などの生活リズムが壊れたときに起こる。
- 身体的原因(Physical)
頻尿、痛み、かゆみ、むずむず症候群、無呼吸症候群(SAS)
- 心理的原因(Psychological)
親しい人の死にショックを受けたり、心配事・ストレスがある時に起こる。
- 精神医学的原因(Psychiatric)
うつ病、統合失調症、アルコール依存症などの心の病気の一症状として。
- 薬剤性の原因(Pharmacological)
薬の副作用やカフェインなどの取りすぎ。
タバコ、アルコールなどが原因となり起こる。
不眠症の薬に頼らない治療方法
- 深部体温を上げる:
具体的には、朝食を食べる、熱めのシャワーや太陽の光をあびるなど。
- 昼間の自然な眠気を感じた時には15分くらい仮眠をとる。
仕事や勉強の効率アップ。
- 寝つきの良し悪しは、就寝前の過ごし方が影響します。
入浴、読書、ストレッチ、アロマなどで脳と体をリラックスさせる。
- 寝室の環境も重要。
温度、光、湿度など快適な状態にする。
ベッド、枕、パジャマなど自分にきちんとあった物にする。
不眠症の薬
大きく分類して、ベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系になります。
ベンゾジアゼピン系の薬:耐性や依存が少なく、安全な薬
翌日まで効果を持ち越しやすくそのために転倒し骨折する事故がかなりある。
記憶障害のために全く記憶が抜け落ちていることがある。
筋弛緩作用により転倒しやすいので注意が必要。
奇異行動がまれに見られることがある。
非ベンゾジアゼピン系の薬:ベンゾジアゼピン系のように耐性や依存性が少なく安全であるが、さらに自然な睡眠を誘導する。
睡眠導入剤の注意
- 処方された量を守る
- 内服したら布団に入る
- アルコールといっしょに内服しない
- 勝手に服用を中止しない