ストレスと血圧上昇
ストレスには、身体的ストレスと精神的ストレスがありますね。
身体的ストレス:暑い、寒い、睡眠不足、過労、スポーツ疲れ、筋肉や内臓の痛み。。。
精神的ストレス:恐怖、心配、驚き、悲しみ。具体的には、近しい人の死、職場の人間関係、家族関係の悩み、病気の悩み、失恋。。。
医学的に、高血圧の定義にも”白衣高血圧”ってありますが、これも精神的ストレスによるもので、病院にきて医師や看護婦さんの姿を見て血圧を測定すると高いというものです。健康診断の時になると血圧が高いっていう人もおられると思います。しかし、研究によるとこういった白衣高血圧の方もやはり、高血圧であり、ストレスに弱い体質を持っていると言えるわけで、ストレスにさらされ続けていると結局は普通の高血圧になっていくとも言われていますので、注意が必要です。
もちろん、逆に”仮面高血圧”っていうのもありましたね。これは、病院での血圧の方が家庭血圧よりも低い場合で、むしろこういったことの方が少ないのですが、理由としては、病院に来た時間が早朝ではなく昼間であることや病院に来ることで安心する(ストレスが逆になくなる)人もおられると考えられますね。
ストレスと突然死
ストレスによる血圧上昇で、恐ろしいのは”脳卒中”や”心筋梗塞”などの引き金になることです。そして、その発作によって突然死がありえます。突然死がいつ起きるかを調べますと1位 睡眠中、2位 入浴中、3位 スポーツ中となりますが、ついやされる時間を考えて危険率を算出しますと、1位 スポーツ、2位 排便中となり、スポーツは排便中の2倍近くの危険率になります。
また、日本でも外国でも突然死を起こすのは男性が女性よりも多いのです。女性の方がストレスに強いのかもしれませんね。
突然死を起こしたスポーツ種目別に見ると39歳以下ではランニングが1位で、2位が水泳。40、50歳代ではゴルフが1位、2位がランニング、60歳以上では、ゲートボールが1位で、2位がゴルフとなっています。頷けるデータではないかと思います。
突然死の原因としては、ほとんどが心臓にあり、若年者では、拡張型心筋症、心筋梗塞などが多いといわれていますが、剖検でも異常を認めず、致死的不整脈と考えられるケースもかなりあるようです。スポーツの前にはメディカルチェックは、重要です。また、健康診断では安静時心電図しか実施しませんが、激しいスポーツの前にはきちんと負荷心電図を含めたチェックが重要な鍵を握っているといえるでしょう。普段からそういう意識をもってください。
ストレスによる血圧上昇のメカニズム
では、ストレスを受けるとなぜ血圧上昇が起こるのでしょうか?
さきほど、ストレスには”身体的ストレス”と”精神的ストレス”があると述べましたが
結局は”精神的ストレス”に集約されると思います。人間は”精神”=”魂”で生きています。
我々人間は”スピリチュアルな”生き物なのです。WHOの”健康”=”Health”の定義を掲載しておきます。
Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。
(出典:http://www.who.int/bulletin/bulletin_board/83/ustun11051/en/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%A5%E5%BA%B7#cite_note-9)
話が、すこし脱線しましたがいずれにしましても、人がストレスを受けると脳(視床下部、下垂体)から副腎皮質や交感神経を刺戟するホルモンが分泌され、副腎からアドネナリンが、交感神経からはノルアドネナリンが分泌されます。ノルアドネナリンは、血管を収縮し血圧が上がることになります。
そして一方で、このストレスをやわらげるために、副腎ホルモンを分解するアミノ酸化酵素が分泌され、これらの過程で活性酸素がたくさん生じるのです。こうして、発生した活性酸素が細胞に障害を与えるため、ストレスを受け続けていると動脈硬化をおこし、当然高血圧になりますし、それだけでなく「癌」が発生してくることが最近の研究で明らかになっています。
ストレスを受けて血圧が上がりやすい人
これについては、難しいですね。
全く健康な人は、一時的に血圧が上昇してもすぐに下がってきます。ところが、一定の条件下で、ストレスを受けるとなかなか血圧が下がらない人がおられます。
「高血圧治療ガイドライン2014」とか見ても書かれておりません。
厚生労働省のページに、ストレス度のテストなどが掲載してありますので、一度チェックしてみるといいかもです。私もやってみましたが、全くストレスありませんでした。
一般的なところでは、歳をとるに従ってストレスを受けやすいといわれます、特に65歳を超えてくると、血圧調節機能も衰えてくるために血圧が下がりにくくなるようです。東北大震災の時にも見られたようですが、災害、転居、家族関係の変化、病気による入院などの環境の変化は高齢者にとっては、大きなストレスとなり高血圧発症の引き金になりえます。
脳卒中の家族歴のある方も、遺伝的な要素から高血圧になりやすい体質を持たれている可能性が高いのでストレスにも注意が必要です。
また、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型の肥満+高血圧・糖尿病・脂質異常症のうち2つを持っている)人もストレスを受けることで、食べ過ぎて肥満を助長し、さらにメタボリックシンドロームを進行させることになりやすいですね。
自分のストレスに気づく
先ほども述べましたが、厚生労働省のサイトでストレス度をテストすることができますし、最近では職場でもストレスをチェックして、うつ病などの発症も予防するようになってきました。ストレスは、高血圧だけでなく、うつ病とも大いに関係があります。
次のような症状が2週間以上も続く場合には、結構危険です。
身体的ストレス
- 寝つきが悪く、早朝に覚醒する
- 食欲がなくなり痩せてくる
- 動悸がする
- 血圧が上がる
- 手や足の裏に汗をかく
精神的ストレス
- やる気が出ず、無力感を感じる
- 不安感、イライラ感、緊張感を感じる
- 悲しいと感じたり憂鬱な感じがする
行動・生活・職場における変化
- 消極的で周囲との交流をさける
- 飲酒・喫煙量が増える
- 身だしなみがだらしなくなる
- 落ち着きがなくなる
- 自分や家族が病気、怪我、災害などを経験した
- 子供の進学、夫婦や親子関係の不和、家庭内の人間関係に問題が起こった
- ローンや借金、収入の減少などの金銭トラブルがあった
- 引っ越し、騒音、近所付き合いのトラブルなど住環境に問題が起こった
- 仕事での失敗やミスがあり責任を問われた
- 上司や同僚、部下などとトラブルがあった
- 仕事の量・質、勤務時間などが変化してついていけなくなった
- 昇進・配置転換・転勤など役割、職種の変化があった
ストレスの緩和方法
入浴
特に、ぬるめのお湯でゆったりとした気分で、入浴することは副交感神経を持激して血管を拡張し、血圧を下げる効果があります。
瞑想
特に、寝る前の10−20分間の瞑想は、ストレスを緩和、あるいは除去、抵抗力の強化に役立ちます。詳しい方法についてはまた別途掲載したいと思います。
音楽
音楽を聴くのもいいですね。
運動
筋トレなどの無酸素運動ではなく、有酸素運動(ウォーキング、軽いランニング、水泳など)が適しています。順位や記録を争うことは帰ってストレスを増強しますのでやめましょう。そして、達成できる範囲で目標を作ると、達成感も得られ、継続する意欲も湧いてきますね。継続することが大切です。継続することでストレスに対する抵抗力もついてきます。
食事
ストレスをうけると活性酸素を生じるお話はすでにしたと思います。
この活性酸素を減らす作用のある食事を摂取することがキーポイントになります。抗酸化ビタミンとしてビタミンC、ビタミンE、βーカロテンなどの摂取。また、カルシウムには、脳の緊張を沈静化させる作用がありますので、乳製品や小魚も大いに摂取が勧められます。さらに、最近では、水素水が人気のようで、水素水サーバーを備えつけたり、お手軽には錠剤の水素水サプリもあるようですね。このあたりも、また別途お伝えできる機会があるかもしれませんね。