高血圧があるからすぐに”動悸”という症状を皆が呈する訳ではありません。
何度も繰り返し申し上げておりますが、高血圧そのものは無症状ですが、長年にわたって高血圧が続く状態が心臓を含む全身の動脈硬化を進行させてそれによる臓器障害をきたすことで症状が出てくるのです。ということは、症状をきたした段階で、既に高血圧のステージとしては癌にたとえますと周辺のリンパ節までに転移をきたしている状態であると考えた方が良いでしょうね。
すなわち、高血圧の人に”動悸”が出現しているということは、心臓に肥大がおこっている、あるいは心臓を栄養している冠動脈に動脈硬化が生じている状態である可能性があります。
動悸とは?
日頃自覚することはない、心臓の拍動を自覚して不快と感じることを言います。
動悸がしているからといって、必ずしも心臓に病気があるわけではありません。
例えば、ストレス、驚いた時、発熱時、貧血、低血糖、運動時、甲状腺機能亢進(バセドウ病など)、肺疾患、アルコール摂取、喫煙、コーヒーを飲んだ時、など生理的に当然おこるものから心臓以外の疾患までいろいろです。
また、動悸にも「脈が速い」場合(頻脈)と、「脈に乱れ」がある場合(不整脈)があります。自分でこれをチェックするには、下の画像の様に自分の指で手首のところで脈を触れることで確認できます。1分間に何回脈を触れることができるか、脈の乱れがないかをチェックしてみましょう。
頻脈:早いが規則正しい脈
脈拍数がおおよそ100回/分までなら、心臓以外に原因があるかもしれません。突発的に動悸がして120回/分を超える様であれば、”発作性上室性頻拍症”や”発作性心室性頻拍症”の可能性があります。また、特殊な頻拍発作に”WPW症候群”などもあります。
徐脈:遅く規則正しい脈
脈拍数がおおよそ40回/分以下になると、脈が遅い分ドキドキする脈拍を強く感じることがあります。あまりにも遅い脈になると意識消失(失神)をおこす危険もあります。この様なものには、”洞不全症候群(Sick Sinus Syndrome:SSS)”や房室ブロック(AV ブロック)などがあります。
不整脈:規則正しくない脈
単発に脈が飛ぶ場合、またそれがしばらく継続する場合、突然おこってバラバラな脈がしばらく継続する場合など様々です。単発のものは”上室性”のものと”心室性”のものがありますがあまり問題になることはありません。
それに対して、おそろしい不整脈として”心房細動”があります。これは、とくに脳梗塞(心原性脳塞栓症)を発症する原因として最も重要なものになります。また、”心室細動”は突然死につながります。特殊な心電図波形を示し、”発作性心室細動”をおこすものにブルガータ症候群があります。普段から不整脈が頻発するようであれば循環器科を早めに受診したり、また健康診断で心電図をチェックしておくことも非常に大事になります。
最近では、人が集まる場所や運動する場所(ジムトレーニングや競技場)などにはAED(自動体外式除細動器:Automated External Defibrillator)が設置されています。日本では、救急車が現場に到着するまでに平均8.5分くらいかかると言われています。そして除細動が成功して不整脈が治るまでの時間が1分経過するごとに生存率が10%ずつ低下すると言われています。すなわち、できるだけ早く救急車の到着を待たずに、現場の傷病者に最も近くにいる、一般の市民が除細動を行うことができるようにしたのが AEDです。
AEDを使用して、電気ショックを1秒でも早く実施することが救命につながるのです。
(出典:http://www.city.kobe.lg.jp/safety/fire/ambulance/AEDtukaikata.html)
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