何度も言いますが、高血圧には症状がありません。ですから、目の充血とか目が痛いという主訴で受診するとしたら眼科ということになります。
目が赤い:結膜下出血
目の充血という場合は、眼の白いところ(眼球結膜)に炎症があって(結膜炎)血管が怒張した状態です。一方似たような状態で、”結膜下出血”と言って、結膜に出血が起こる場合があります。通常、見た目がちょっと怖いのは、この結膜下出血ですが、よくあるのは、目を殴られたときや目の周辺を打ったときにはこうなります。それ以外では、目をこすったり、強く咳き込んだり、くしゃみをしただけでも起こることがあるようです。全身の凝固異常や血液疾患に伴うこともあるのですが、ほとんどの場合は、原因不明です。あまり心配することはありませんので、放置しても自然に吸収されて消えていきます。
こういった外から見てわかる目の出血の場合、高血圧を心配して眼科を受診したりすることはまずないかと思います。よくあるのは、高血圧で治療中の方が、結膜下出血を起こして慌てて外来に駆け込んできて、「目に出血したんですが、脳卒中にならないでしょうか?」とか、「目に出血したのですが、頭の中にも出血したのではないでしょうか?」とか心配される場合ですね。さらに、こういうときは気分が動揺しているため血圧自体もかなり高くなっていて、その血圧を測定して「血圧も相当高くなってるんです!」と言ってオロオロされるわけですね。 大丈夫ですから落ち着きましょう。 結膜下出血は、通常ほっておいて大丈夫です。確かに、高血圧の方は、動脈硬化もすすみやすく、血管の脆弱性もあるため結膜膜下出血も起こりやすいかもしれません。しかし、それだけのことです。脳卒中とも関係ありません。落ち着いて、様子を見るだけでいいのです。
目が赤い=視野が赤く見える:眼底出血
これは、放置したらやばいです。急に、見るものが赤くなったりぼーっとして見えにくくなった場合、これは、通常片眼性(片眼だけ)に起こります。これは、眼底出血である場合がほとんどです。高血圧性や糖尿病性網膜症の場合があります。この場合には、眼科を急いで受診してください。早急な治療が必要になります。放置すると失明の危険性があります。
目が痛い=眼痛:緑内障
眼が痛いと言って来る場合には、頭痛がするということで脳神経外科の頭痛外来を受診される方もおられます。この場合は、重要な2つの鑑別すべき疾患があります。
1つは、緑内障であり、もう1つは、群発頭痛です。
緑内障は、眼圧が高くなるために眼が痛くなるわけです。これも放置すると失明に至りますので脳神経外科を受診されてもきちんと診断して、眼科へ紹介してあげる必要があります。
一方、群発頭痛は、特殊な頭痛で、がっしりとした男性に多く、ヘビースモーカーが多いとも言われます。原因は不明ですが、一定の季節に固まっておこる片側の眼を中心に突然おこる極めて強い痛みで、部屋中を転げ回るほどだといわれます。特効薬は、酸素ですが、家にはないですよね。スポーツ店で売っているような酸素では全く流量がたりません。病院を受診して、100%純酸素 7L/分以上を15分くらい吸入すると80%以上の方は、痛みが劇的に止まります。 痛む季節には在宅酸素療法として治療することもできますが、この場合には自費になります。 また、トリプタン製剤の注射や点鼻薬、または内服薬も効果的ですので、脳神経外科を受診されて相談すると良いでしょう。この病気の方は、アルコールによって、群発頭痛発作が誘発されるのを経験的に知っておられることが多いので、「もう酒飲んでも起こらなくなったから、おこる時期が過ぎたと思います。」って言われます。