「漢方は自然なものだから、安全ですよね?」
医療現場で何度となく耳にする言葉です。
でも本当にそうでしょうか?
実は、漢方が原因で命を落としかけた方は
意外なほどたくさんいます。
今回はその“知られざる漢方の危険性”について
私自身の体験を交えながらお話しします。
■「甘草(かんぞう)」という落とし穴
甘草(グリチルリチン)は
非常に多くの漢方薬に含まれている生薬です。
たとえば、芍薬甘草湯、小青竜湯、葛根湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など
挙げればきりがありません。
この甘草には、「偽性アルドステロン症」という副作用があります。
これは、甘草に含まれる成分が体内のホルモンバランスに干渉し
アルドステロンというホルモンのような作用をしてしまうというもの。
結果として、体内のカリウムが失われ、ナトリウムと水が溜まる
という異常が起こります。
つまり、低カリウム血症、高血圧、むくみ。さらには
不整脈や心停止に至ることさえあるのです。
甘草を含む漢方薬を複数併用していたり
長期服用している高齢者では
いつの間にか重度の低カリウム血症に
なっていることが、本当にあるのです。
■実際にあった、命の危機
私がICUで勤務していたときのことです。
ある30代の男性が
炎天下のハイキング中に突然ふらついて歩けなくなり
救急搬送されてきました。
意識は朦朧としており、血圧も低下。
すぐに血液検査をしたところ
カリウム値はなんと「1.7 mEq/L」。
正常値の下限が「3.5」程度ですので
これは重篤な低カリウム血症です。
私たちは、ただちにカリウムの点滴投与を開始しました。
ですがその矢先、私の目の前で
その患者さんの意識が消え
モニター上の心電図が突然フラットになりました。
心停止・呼吸停止ーーまさに死の瞬間でした。
ICUにいたことが幸いし
即座に気管内挿管、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行い
幸い電気ショック(除細動)までは不要でした。
数分後、なんとか心拍と呼吸が戻りました。
この方の場合は
甘草の影響ではありませんでしたが
原因はやはりカリウムの急激な消失でした。
発汗、脱水、過度な水分摂取などの複合要因でしたが
もしもそこに「甘草を含む漢方薬」が加わっていたら
助からなかったかもしれません。
そして、もう一つ忘れられない症例があります。
ある長期療養型病院で当直していたときのこと。
80歳を超えた高齢の入院患者さんが
意識がはっきりしない状態で具合が悪い
とのことで検査が行われていました。
血液検査の結果、カリウムは「1.5 mEq/L」。
これは、先ほどの30代男性よりも
さらに深刻な状態でした。
原因を調べていくと、
なんと
長年にわたり甘草を含む漢方薬が
処方され続けていたことが判明したのです。
「なぜ、主治医は漫然と漢方薬を投与し続けたのか」
私は怒りを感じました。
おそらく
体調の不調が徐々に進んでいたにもかかわらず
その原因が漢方だと気づかないまま
年月が過ぎていたのでしょう。
その方も幸い一命を取りとめましたが
まさに「知らずに蝕まれていく恐ろしさ」を
目の当たりにした出来事でした。
■甘草が含まれている「意外な薬」
甘草は、味をまろやかにする作用もあるため
さまざまな漢方薬に広く使われています。
高齢者が複数の漢方を服用している場合
それぞれに甘草が含まれているケースも珍しくありません。
たとえば;
柴胡加竜骨牡蛎湯(不安や動悸)
小青竜湯(鼻水、アレルギー)
芍薬甘草湯(こむら返り)
葛根湯(風邪)
あたなは
これらを併用していませんか?
1剤1日2.5g程度の甘草でも
複数剤を飲んでいれば
1日10gを超えてしまうこともあります。
これはすでに危険域です。
特に
「芍薬甘草湯を寝る前に」
「葛根湯を風邪予防に」
「小青竜湯を花粉対策に」
といった具合に、症状に応じて
自己判断で使っているケースが危険です。
■「自然だから安全」とは限らない
「漢方は植物からできているから副作用がない」
と思い込んでいませんか?
実際には
甘草のように強い薬理作用を持つ成分が含まれ
副作用もあるのです。
そして、それが体の中でゆっくりと
悪影響を積み重ねていくため
気づかないまま深刻な状態に陥ることもあるのです。
漢方薬による偽性アルドステロン症の報告は
年々増加しています。
高血圧やむくみ、不整脈を起こして初めて
「原因は漢方薬だった」と判明することもあります。
■命を守るために、今できること
もしあなたやご家族が
複数の漢方薬を常用しているなら
成分表を見て甘草(グリチルリチン)が
含まれていないかを確認してください。
また
体がだるい
足がつる
むくみが強くなった
血圧が高くなってきた
不整脈がある
こうした症状が出ている場合は
甘草による影響を疑ってください。
そして可能であれば
血中のカリウム値を調べる検査を受けることをおすすめします。
■最後に
漢方薬は、うまく使えばとても有用です。
でも、それは成分と作用、副作用を理解した上での話です。
「自然だから安心」ではなく
「薬だからこそ、注意深く使う」
この意識が、命を救うこともあるのです。
医療者として、あなたの命を守るために
この情報をシェアさせていただきました。
誰かの大切な命を救うヒントになれば幸いです。
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