高血圧にまつわる嘘シリーズ(第5章):診断

クリック矢印

クリックして応援お願いします!
↓↓↓↓↓

クリックして応援お願いします!

8.高血圧の診断

 

<ウソ9> 高血圧は、親からの遺伝によるものなので根本的な治療法はない

 

そもそも、高血圧はいつ、どんな時に発見されるのでしょうか?

このことに御答えする前に、知っておいて欲しいことが有ります。

一般の人はあまりご存知ではないと思いますが、小児においても高血圧は存在します。
もちろん、その原因はさまざまです。
ここに至まで、高血圧の原因については述べていなかったのですが、これ以降の話の都合上も高血圧の原因について少し理解して下さい。

大きく分けて、高血圧には2つの種類があります。

1つ目が、親からの遺伝による、「遺伝性高血圧」です。
これは、昔から「本態性高血圧」ともいわれていますが、最近では、遺伝子の解析が進み、いくつもの遺伝因子が発見されています。

そして、2つ目が「二次性高血圧」といわれるものです。
すなわち、「一次性」の原因があって高血圧という結果を生み出していると言うことです。
この「二次性高血圧」と診断することの重要性は、その「一次性」の原因を治療することができれば高血圧が治ると言う点に有ります。

その原因は、たくさん有りますが、少し分類しておきましょう。

 (1)腎血管性:腎動脈の狭窄や閉塞による

 (2)腎実質性:これの約半数は、糖尿病性腎症であり、透析の最大原因

 (3)内分泌性:原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、末端巨大症

          甲状腺機能異常など腫瘍によるものが多い

 (4)血管性:大動脈炎症候群をはじめとする大血管の異常による

 (5)脳・中枢神経形疾患性:主に、頭蓋内圧亢進症による。つまり、脳血管障害、脳腫瘍、     

          頭部外傷などによって脳が腫れて圧があがることによる

 (6)薬剤誘発性:種々の薬剤によるもので、この中でも特に注意を要するものがあります。

          それは、甘草やグリチルリチンを含む、多くの漢方薬、健康補助食品、

          サプリメントや化粧品です。

 (7)妊娠高血圧症候群:妊娠によって引き起こされる高血圧症候群

 

特に漢方、健康補助食品やサプリメントの使用については、患者さんから言ってくれることはまずないですから、私は、普通の薬以外に何か常用している漢方やサプリメントの類いを必ず尋ねる様にしています。

 

ですから、二次性高血圧については原因が診断できればきちんと治療でして治るということです。

また、本態性の場合でも遺伝性の因子+環境因子で発症して行きますので、きちんと健康的な予防を行うことが大切なことは言うまでもありません。

 

<ウソ10> 漢方や健康補助食品、サプリメントでまさか高血圧になったりはしない

 

さて、高血圧はいつ見つかるのでしょうか。

小児の時期から、上記の二次性高血圧はあり得ますので、学校の健診は重要ですね。

もちろん、職場での健診も大切です。
献血や何かのイベントの時に街頭で血圧が高いと指摘されたり、その他には、別の病気で病院を受診したり入院したりした時ですね。

少し前に、「高血圧は症状がない」と申し上げましたが、例外が1つだけあります。

それは、唯一高血圧でも激烈な症状を来すことがあり、それが「高血圧性脳症」という病態であることです。
これは、あまりにも急激に著しい血圧上昇がおこったために脳血流の自動調節がおかしくなり、必要以上の血液量と圧が脳血管にかかって、脳に浮腫(腫れ)を来した状態です。
症状としては、正しく治療できなければ、意識障害、脳出血、昏睡となり死にいたります。

 

9.高血圧は、なぜ放置してはいけないのか。

 

高血圧そのものは、症状を出さないのになぜ治療する必要があるのでしょうか。

それは、高血圧を長年にわたって放置するとやがて、いろいろな臓器に障害をもたらすからです。

脳血管障害、心疾患、腎疾患、血管疾患です。

今回は、私が脳神経外科専門医ですので、他の疾患は簡単に述べるにとどめますが、いずれの疾患も発症したら大変な事態になることは間違いの無いものばかりです。

 

脳血管障害、すなわち「脳卒中」は次章で詳しく述べますが、心疾患としての代表は、何と言っても「狭心症」や「心筋梗塞」です。
これらは、共に心臓を栄養している冠動脈の動脈硬化によって心臓へ行く血液の流れが悪くなって起こる病気です。


腎疾患としての代表は「慢性腎臓病」で、これも腎臓を栄養している動脈の障害によります。末期すなわち「透析」をしないといけないくらい腎機能がわるくならなければ症状はでません。

血管疾患としては、特に大きな動脈の動脈硬化による疾患で、「大動脈解離」と「動脈硬化性末梢動脈閉塞症」があります。
前者は、心臓からでてすぐの大動脈の壁が一部裂けてできるもので、破裂すると死に至る恐ろしいものですし、後者は、特によく診るのは下肢の動脈がしだいに動脈硬化で閉塞していく「閉塞性動脈硬化症」が代表です。
初めのうちは、長い距離を歩いていると、脚が痛くなってきて、立ち止まると軽快するという「間歇性跛行」を来すことで有名です。

 

どれをとっても、動脈が高血圧に曝され続けることによって、ぼろぼろになっていくために起こる病態です。

これらいずれの疾患も高血圧だけでなく、脂質異常症や糖尿病などと深く関係がありさらに、喫煙というもう1つの重要な因子と相まって病態をどんどん悪化させて行くのです。

 

さて、次回の第6章では、上記で記載できなかった「脳卒中」について少し詳細に取り上げます。
脳卒中は、一瞬でその人の人生を奪い去ってしまうほどのインパクトのある病態です。

 

クリック矢印

クリックして応援お願いします!
↓↓↓↓↓

クリックして応援お願いします!
スポンサーリンク
336×280
336×280

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
336×280